「例えば袷の中にも今日殆ど見られなくなった綿入れ、更に厳寒の折には重ね着と言って同じ袷を男子は二枚重ねる着方もあった。」「例えば今日夜咄の茶事で、露地を歩いて通り過ぎる分には良いが、腰掛けで待つと言う事が出来にくくなっている。かつては自分自身の着衣で寒さに対応したが、今日では空調の部屋に居るので外気の中でわずかの時間も過ごす事が出来にくくなっている。寒さはそれが冬と言う季節感として味わえなくなり、情緒を感じると言う感性すら失われつつある。」
平成14年5月号 茶道基礎講座 著者名無し
平成14年5月号 茶道基礎講座 著者名無し