日本教会史 ジョアン・ロドリーゲス
第12章9節 客人に茶を飲ませる家で、数寄と呼ばれるものについて
「この王国(日本のこと)の優雅な習慣の中でも、主要であり、日本人が最も尊重し全力を傾倒するのは茶を飲むことに招待することであろうが、それと同じく、彼らはまた客人に茶を出す場を造ることについても、特殊な建物、その建物への通路や入口、またこれらの場所の目的に適したその他の様々なことについても丹精をこらすのである。
(中略)
数寄と呼ばれるその家は、貴人が田舎で生活する一つの方法として、僻地の小屋にあたるその家に友人を招待して食事をし、茶を飲んで観照にふけるところである。
(中略)
その場で使う道具なりは、宮廷にあるものと同じような優美で完全で形が良くて光沢のあるものを甚だしく嫌い、また山中や僻地のものを使うのでもなくて、無造作に自然らしく造られた粗末でゆがんだものなどが使われる。
(中略)
華美にわたらないようにして私的に招くのである。
そして、客人を招待した家の主人は自分がたとえ貴い身分であろうと、食卓での給仕を自らするのが普通であり、そこで食事をした後で主人自らの手で茶をたてて、客人に差し出す。
このような接待の方法が客人に対して払う最大の敬意である。」
今現在の茶事のスタイルを彷彿とさせる見聞録で、ワクワクします。
ロドリーゲスが、こんな風に茶事のことを書いてくれてるとうれしいです。