今回は有名な丿貫の手取釜の話です。

丿貫と手取釜
(原文)
山科のほとりに、へちくハといへる侘ありしが、
常に手取の釜一つにて、朝毎ミソウヅという物をしたため食し、終わりて砂にてみがき、清水のなかれを汲いれ、茶を楽こと久し、一首の狂歌をよみける
手どりめよおのれハ口がさし出たそ
増水たくと人にかたるな
(大意)
山科に丿貫という侘び茶人がおりましたが、毎朝、手取釜で雑炊作って食べ、終わると砂で磨いて清流の水を汲んで、長い間お茶を楽しんでいました。ある時、一首の狂歌を読みました。
手取釜よ、おまえの口は突き出しているが、この釜で雑炊を作っていると、人に話をするな。
追加)
「道具茶」と言って茶会で自分の道具を披露する事を皮肉る言葉が有りますね。
茶の湯は元々、唐物の時代から道具を偏重する宿命が有りましたが、この話は丿貫を例に、藤村ようけんが痛烈に批判していると私は読んでます。
茶の湯の楽しみ方には色々な切り口が有り、道具賞翫も華美で雅な物を好む人も居るでしょうが、少なくとも利休を仰ぐ流派ならば、この丿貫の話を少しは頭の隅に置いておきたいものだとつくづく思います。

丿貫と手取釜
(原文)
山科のほとりに、へちくハといへる侘ありしが、
常に手取の釜一つにて、朝毎ミソウヅという物をしたため食し、終わりて砂にてみがき、清水のなかれを汲いれ、茶を楽こと久し、一首の狂歌をよみける
手どりめよおのれハ口がさし出たそ
増水たくと人にかたるな
(大意)
山科に丿貫という侘び茶人がおりましたが、毎朝、手取釜で雑炊作って食べ、終わると砂で磨いて清流の水を汲んで、長い間お茶を楽しんでいました。ある時、一首の狂歌を読みました。
手取釜よ、おまえの口は突き出しているが、この釜で雑炊を作っていると、人に話をするな。
追加)
「道具茶」と言って茶会で自分の道具を披露する事を皮肉る言葉が有りますね。
茶の湯は元々、唐物の時代から道具を偏重する宿命が有りましたが、この話は丿貫を例に、藤村ようけんが痛烈に批判していると私は読んでます。
茶の湯の楽しみ方には色々な切り口が有り、道具賞翫も華美で雅な物を好む人も居るでしょうが、少なくとも利休を仰ぐ流派ならば、この丿貫の話を少しは頭の隅に置いておきたいものだとつくづく思います。